丹下健三氏設計の香川県庁舎東館

香川県庁舎東館とは

耐震改修工事期間

香川県庁舎東館は平成29年(2017)8月から耐震改修工事が行われていた。
(終了予定は2019年12月20日)

もう少しで終わるようで、立ち入り禁止部分があるものの内部が少し見られるようになっている。

香川県庁舎東館

香川県庁舎東館ななめ

設計は丹下健三氏、壁画は猪熊弦一郎氏の作品

▼外から内部の壁画が見える。

香川県庁舎1階

香川県庁の設計は丹下健三氏で1955年(昭和30年)12月着工、1958年(昭和33年)5月竣工。

1階の壁画は香川県丸亀市の画家、猪熊弦一郎氏が手掛けられた。

当時の香川県知事、金子正則氏に猪熊氏が丹下氏を紹介したことによる。

香川県庁舎東館ピロティ
東入り口前のピロティは立ち入り禁止

香川県庁の木目コンクリート
木目のコンクリート

建物としての価値

東館は当時本館で、現在の本館(2000年竣工)も丹下健三氏が設計された。

香川県庁舎案内図

東館は「公共建築百選」、「DOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に選出されている。

■公共建築百選

■DOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築

美しく、とても価値の高い建物なので、本日は改修工事がまだ終わっていないけどご紹介しよう。

2021年、アメリカの新聞「ニューヨーク・タイムズ」が発行している専門雑誌「ニューヨーク・タイムズ・スタイル・マガジン」に、「世界で最も重要な戦後建築25作品」の1つとして掲載された。
日本国内では唯一の選抜となる。

また、2022年には「香川県庁舎旧本館及び東館」が国の重要文化財に指定された。

外観と1階南庭

香川県庁舎東館外観
南側から見た外観

1階南庭はまだ立ち入り禁止。
左の高い建物は本館。

香川県庁舎東館外観2
南西から見た外観

香川県庁舎東館外観3
西側から見た外観

南庭も素敵。
はやく散歩したい。

香川県庁舎東館北から
北西から見た外観

「自由なファサード(正面)」というコンセプトなので、どこからみても正面に見える。

どの階もベランダで外周を移動可能。

香川県庁舎東館のベランダ

香川県庁舎東館ロビーから見た南庭
ロビーから見た南庭

猪熊弦一郎氏の壁画「和敬静寂(わけいせいじゃく)」

タイトルについて、猪熊氏は金子知事に送った手紙でこう説明している。

(日本のあるべき民主主義は茶の精神であり)茶の神髄は和、敬、静、寂である。これを4つの壁面に表現すべくデザインした。

図柄は太陽と月で、和(東面)、敬(南面)、静(北面)、寂(西面)を表現している。

香川県庁舎東館和敬静粛
和(写真右側)、敬(写真左側)

香川県庁舎東館和敬静粛2
敬(写真右側)、寂(写真左側)

寂の向こう側が見にくいね。

猪熊弦一郎氏和敬清寂の寂
寂の左側

後から左の倉庫が追加されたのか、ずいぶん見えにくい・・・

香川県庁舎東館和敬静粛3
和(写真左側)、静(写真右側)

ここも「静」が見えにくい。
銀行のATMが後からできたのかな?

当時猪熊氏はニューヨークにアトリエを構えていたので、現地にはいらっしゃらなかった。
送られてきたものは、寸分たがわず設置場所におさまったとのことだけど、これも計算していたのか、それとも後からATMができたのか調査する必要があるね。

※まさかATMをつくるのに、猪熊氏のデザインを隠してしまうということはないと思ってはいるんだけど・・・

「静」の部分は立ち入り禁止だったんだけど、許可をいただき入場することができた。

香川県庁舎東館和敬静粛4

ん~切れてるのか、こういうデザインなのか・・・

とにかく1階内部はとても素晴らしい空間。

瀬戸内国際芸術祭2019開催中に香川県立ミュージアムにて、これの図案以外のデザインが発見されたことを確認したよ。

屋上庭園

改修工事は完了していないものの、県庁として機能はしている。

階段を上る。
(エレベーターもあるよ)

香川県庁舎東館階段

階段は2列あり、どちらで上っても行先は同じ場所。

4階に行くと屋上庭園。

香川県庁舎東館議会棟までの廊下
議会棟までの連絡通路

連絡通路の反対側に屋上庭園が広がる。

本館21階展望室から屋上庭園が見える。

香川県庁舎本館から見た屋上庭園

改修工事に精力を注ぎ、庭園整備には余裕がなかったのかなと・・・

香川県庁舎東館屋上庭園入り口

以前は素敵な場所だったんだよ。

香川県庁舎東館屋上庭園

いろんな花が咲いて、緑がたくさん戻ってくることを期待するよ。

8階の上にある屋上も素敵な場所なんだけど、改修工事以前より立ち入り禁止になっている。

香川県庁舎東館8階

開放していただけることを希望する。

本館とのつながり

東館と本館はつながっていてすぐに行くことができる。

あ、現知事の浜田氏がVIPカーで出勤してこられたよ。
おはようございます(^^♪

▼東館ロビーから本館へ。

香川県庁舎東館から本館へ

香川県庁舎本館エレベーター
本館

エレベーターを上がると、また東館に行くことができる。

香川県庁舎本館から東館

この階の本館には食堂もあって、メニューも豊富で評判もいい。

香川県庁舎本館食堂

11:00から開店。
メニューは撮影禁止と書いてあった。

現代では珍しく、同じく食堂の階には喫煙場所もある。
大丈夫かな?
いつか県民からお叱りをうけそうだけど・・・

しかし本館も素敵な場所。

香川県庁舎本館から見た東館

香川県庁舎本館21階展望室から見た高松シンボルタワーと女木島
本館21階展望室からの眺め

高松シンボルタワーと女木島が見える。

ここは残念ながら17:00に閉場してしまうんだよね・・・

今年は瀬戸内国際芸術祭2019があったためか、22:00まで無料開放されていたんだけど来年も開催していただけるのかな?

まとめ

改修工事が完了してからレポートしようと思ったんだけど、平日にはなかなか行くことができない。
またあらためてレポートするよ。

丹下健三氏、猪熊弦一郎氏の優しいデザインに包まれとてもいい気分。

是非訪れていただきたい。

▼香川県の「DOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築」をまとめたのでよろしければご参考に。