瀬戸内国際芸術祭2022「豊島」編
本日8月5日(金)、瀬戸内国際芸術祭2022夏会期が始まった。
ちょうど豊島美術館の予約が空いていたので、豊島から行こう。

豊島美術館は10:00開館、10:00に予約を取ることができた。
始発の7:41高松発に乗らないと間に合わない。

夏休みとはいえ、平日なので人は少なかった。

さらばサンポート高松。

例によって、私の中の偏見、肩書が消されていく。
変なフィルターが外れる、と表現する。

瀬戸内海に浮かぶ島々を見ていると、ほんと瀬戸内海っていいなと思う。
約30分で豊島家浦港に到着。

豊島では電動レンタサイクルを借りた方がいいよ~
4時間1,000円、1時間超過で100円。
スーツケースを持って歩く方がいらっしゃったけど、坂が多いので、荷物は預けて迷わず電動レンタサイクルを。
さて、豊島の作品は「家浦」、「唐櫃(からと)岡」、「唐櫃(からと)浜」、「甲生(こう)」からなる。
作品のほとんどは9:30から始まる。
始発で来ると24時間鑑賞可能なものからまわると効率がいいのでご参考に。
(屋外作品は基本的にいつでも鑑賞可能)
以下は作品番号順に掲載するね。
家浦の作品
No. te02-B「豊島横尾館」横尾忠則・永山祐子
基本的に写真撮影禁止だったけど、今回は部分的に撮影許可が出たよ(^^♪

今回は庭の撮影が可能に。


▼これでやっとこの写真が活きる。

これが面白い。
庭にある池と、母屋、裏の池は繋がっている。

母屋の中は撮影禁止。
床が透明で、楽しそうに泳ぐ鯉を鑑賞していると楽しい。


滝のインスタレーションは、天井と床が鏡になっていて空間の広がりを楽しむことができる。
壁には絵葉書が整列して貼られてあり、圧巻の景色。
こちらは撮影不可(+_+)
No. te03-B「針工場」大竹伸朗
大竹伸朗さんは直島や女木島でも大作を出展されてるね。
すごく好きな作品ばかり。


これは船の型を取るためのもの。

30年間目的を果たさず放置されていた。
型を取ったら、あとは廃棄されるんだって。
壊されなかったからある意味良かった。

裏返して置いているのもアーティスティック。

なんかかっこいい。
クーラーの効いた部屋に逃げ込む。


受付スタッフの方が、2015年にこの作品ができた時の動画を用いて優しく解説してくださった。

写真担当スタッフの方が写真を撮られたんですね、って話になって、最初の4、5枚のスライド写真を見て釘付けになった。(ここは釘じゃなくて元針工場)
私:「写真担当スタッフさん、めちゃくちゃ写真がお上手ですね。」
受付スタッフさん:「あ、そういう観点で見ていなかったものですから・・・でも確かに写真上手ですね」

すごい。
エンドロールで写真を撮った方のお名前が表示されていた。
なんと「香川県文化芸術新人賞展2022」を受賞された宮脇慎太郎氏が撮影されていたんだ。
唐櫃岡の作品
No. te08「空の粒子/唐櫃」青木野枝
荒神社、唐櫃の清水の横にある作品。

ここは壇山のふもと「唐櫃岡」にあり、昔から、豊富で清らかな水が絶えることなく湧きでていることから「清水」と呼ばれています。
この湧き水は、「霊泉越水」とも呼ばれ、その昔、ここに来られた弘法大師が喉の渇きを覚えて、自ら地面を掘られたところ、水が湧きだしたと伝えられています。
現在、この湧き水は、四季を通じて水温は変わらず、きれいなおいしい水として水道水源に、また、付近の田畑を潤すかんがい用水などとしても利用されており、地元の人々の生活と実説に結びつき大切に保全されています。

荒神社は国の登録有形文化祭なんだ。

そして作品。

ちょっとお手入れがされていないんじゃ・・・

No. te09「あなたの最初の色(私の頭の中の解-私の胃の中の溶液)」ピピロッティ・リスト
島キッチンの横にある作品。

刻々と変わる映像に魅せられる。

No. te10「島キッチン」安部良

お昼ご飯にしよう。

予約でいっぱいらしく、キーマカレー単品、外で食べるならすぐに用意していただけるそうだ。
外で食べる方がいい(^^♪
ドリンクはスッキリ文旦サワーをおすすめいただいたのでそちらに。




酸っぱい炭酸、乾いた喉に直撃。
次回2025では室内で食べられるよう計画しよう。


No. te12-B「ささやきの森」クリスチャン・ボルタンスキー
一番アクセスの難しい作品になるかな。


山の中を少し歩くと・・・

人の名前が書かれた風鈴がいっぱい。
ささやきの森
豊島・壇山の中腹にあたる森林の中、無数の風鈴が風に揺れ動き、静かな音を奏でるインスタレーション。
風鈴の短冊には、これまでに訪れた方の大切な人の名前が記されています。風になびく音は魂の神秘性を思わせ、無名の個人を記憶に留め、人間存在の強さや儚さを表現します。
鑑賞者は、新たに自分の大切な人の名前を残すことができます。後日、名前は書かれた文字の短冊(プレート)に刻まれ、作品の一部となって風に揺れ動き始めます。
風が吹くと優しく森の中に響き渡る。
そういえばクリスチャン・ボルタンスキーさん、去年お亡くなりになったんだ。
ニュースで見たよ。
ご冥福をお祈りします。
後述の「心臓音のアーカイブ」もクリスチャン・ボルタンスキーさんの作品ね。
豊島にクリスチャン・ボルタンスキーさんのお名前が刻まれたね。
No. te13-B「豊島美術館」内藤礼・西沢立衛
豊島美術館を目指すと、この風景に出会い、なかなか前に進めない(笑)



振り返ると豊島美術館。

豊島美術館は、豊島の作品の中で唯一、予約を取る必要があり、さらにパスポートとは別に料金が必要なんだ。
これを知らない方が結構な数いらっしゃる。
係の方が大きな声で説明すると、脱落されていくんだ(´・_・`)
直島の地中美術館なども予約が必要なのでご注意を。

森を歩いて美術館に行こう。



広い、白い空間。
5ミリの穴からチョロチョロと水が噴き出る。
撥水の床で、水は玉のように転がる。
水の玉は他の水とくっついたり、直径1cmの穴に落ちていくこともある。
1日かけて大きな泉にもなる場所もある。
鑑賞している皆さんがウットリしているのが分かる。
美しく、清々しい時間が流れているからずっとここにいたくなる。
座り込んだり、大の字になって寝る方も。
とにかく豊島美術館には是非。

ショップでベーグルとジンジャエールを購入。


めっちゃウマい!
あ、ベーグルの写真を撮るの忘れた・・・
帰りも瀬戸内の風景を(^^♪

No. te18-B「西本喜美子写真展~ひとりじゃなかよ~」西本喜美子

随分攻めた方だと(笑)

「お茶目でチャーミング」とはこんなイメージ。
70歳で写真を始め、現在90歳を超えてらっしゃるのだとか。

今、カメラを手にして思うこと。
こんな身近に、残りの人生を楽しんでいける素晴らしい道具があったのだと。何事にも「うまい」「へた」はある。
だけど「良い」「悪い」はない。
先生でもある息子のこの言葉で、安心して続けられた。写真を覚えて良かった。
写真を続けて良かった。すべてに感謝です。
主人に、息子に。
そして写真塾で出会った素晴らしい仲間たちに。

西本喜美子
両親が農業指導のために渡ったブラジルで、7人兄弟の次女として誕生。8歳のときに家族で帰国。女学校・美容学校を卒業後、自宅の敷地内で美容院をはじめる。
競輪選手となった2人の弟が全国を巡業している姿に憧れたことがきっかけで美容院をたたみ、競輪学校でA級ライセンスを取得、22歳で女子競輪選手となる。数多くのレースを経験したのち、実家の税務を担当していた税務署職員の西本斎と27歳で結婚し引退。
3人の子を授かり、子育ての合間にパートタイマーとして家計を助けた。72歳のときにアートディレクターの長男・和民が主宰する写真講座「遊美塾」で初めてカメラを触る。足腰が弱いため、室内での撮影が中心。その作品群は独特の個性を持つ。趣味:写真撮影・パソコンアート・革のバッグ作り
好きなテレビ番組:国会中継
息抜き:息子と一緒に夜の街を飲み歩く


「おばあちゃんだから皆さんに迷惑かな?」
当寺72歳、長い人生でカメラなんか触ったこともないのに、お友達に半ば強引に誘われて通い始めた写真塾。
主人は昔からカメラ好きでしたが、私に写真の話などしてくれたことはないので私はな~んもわからんのです。
そんな主人に「写真をはじめる」と言ったら「なんだと?」と返ってきた。
怒られる理由はないのですが、まちがいなく怒った顔だった。しばらくして、ムスッとした顔で「これ使え」と出してくれたのは、びっくりするくらい重たいカメラでした。
主人はすごい早口で使い方を説明して、2本のレンズと一緒にポンと私に渡しました。
ん???な~んも意味わからんのです。
ま~いいか、ここを押せば写るとか言ってたからなんとかなるでしょ!
これが初めてカメラを手に入れた瞬間でした。



「おばあちゃんだから皆さんに迷惑かな?」というタイトルを読んで泣きそうになった。
本人が楽しんでいたらそれが一番で、それを見るのはみんな楽しいんだよ。
現代の承認欲求強めな方々に響くね。
唐櫃浜の作品
No. te14「勝者はいない─マルチ・バスケットボール」イオベット&ポンズ

スポーツって、勝つためにやるんだ。
負けるためにやらない。
でも勝者がいないってのもいいね(^^♪
No. te15-B「心臓音のアーカイブ」クリスチャン・ボルタンスキー
あらためてご冥福をお祈りします。

館内写真撮影禁止。
暗い室内、いろんな方の心臓音に呼応してライトが点灯する。
弱い心臓音だと明かりも弱い。
定期的に心臓音が入れ替わり、強い心臓音になるとすごく明るくなる。

自分の心臓音を録音して、作品に参加することができるよ。
甲生の作品
No. te19「海を夢見る人々の場所」ヘザー・B・スワン+ノンダ・カサリディス

今回お初の作品、すごくいいね。



いっぱい撮りたくなるね。


とても素敵だ。
No. te20「かげたちのみる夢(Remains of Shadowings)」冨安由真
この作品がすごかったんだよ。
分かりにくい場所で、迷いながら到着。

廃墟の中に、絵が飾られてる。

いろんな場所に絵がある。












とここまで作品を見ながら最後の作品はなんと写真撮影禁止。
衝撃の結末が待っていたんだ(^^♪
ハードルを上げ過ぎたらいけないんだけどね。
最後、これは何なのかを係の方に聞いた方がいい。
私はからくりが分かり、確認して教えていただいたけど多分聞かないとネタバレになってしまうから教えてくれないと思うんだよね。
是非現地でショックを受けていただきたい(笑)
まとめ

作品もいいんだけど、豊島の景色も素晴らしかった。





ありがとう豊島。

また来るよ。
