猪熊弦一郎現代美術館「アートはバイタミン」
「アートはバイタミン」
香川県丸亀市にある猪熊弦一郎現代美術館にて特別展「アートはバイタミン」が開催中だ。
期間は2020年6月2日(火)~9月22日(火)の約3か月。
猪熊弦一郎氏について
猪熊弦一郎氏(1902~1993)は香川県高松市の出身で、丸亀市で学生生活を過ごされた。
現香川県立丸亀高等学校から現東京芸術大学に入学された。
三越包装紙「華ひらく」
デザインを猪熊氏に依頼し受け取りに行ったのはアンパンマンの作者「やなせたかし」さん。
やなせさんは当時三越の宣伝部に勤務されていた。
上野駅「自由」
右側にある作品は「和敬清寂」といって香川県庁舎東館にある作品の実寸大模型。
香川県庁舎東館「和敬清寂」
下は香川県庁の写真。
ちなみに模型のそばにある丸い椅子は実際のものを借りてきて展示してある。
香川県庁は丹下健三氏が設計されたわけだけど、猪熊氏が当時の香川県知事「金子正則」氏に紹介したことによる。
模型を見たら本物が見たくなるよね(^^♪
慶応義塾大学ホール壁画「デモクラシー」
現在はホールではなくて食堂に移設されている。
東京會舘本館モザイク壁画「都市・窓」
電飾も猪熊氏がデザインされている。
まだまだあるけどこのくらいにしておこう。
▼右前に猪熊さん、右隣に瀬戸内寂聴さん、猪熊氏の後ろに流政之氏。
この写真は屋島の麓にある四国村の安藤忠雄氏設計のギャラリー内にある。
猪熊弦一郎現代美術館が改装中に猪熊氏の作品が展示されていた。
普段はギャラリー内は写真撮影禁止なんだけど、猪熊氏の作品展示中は撮影可能であったため撮ることができた。
猪熊弦一郎現代美術館は受付時に「館内すべて撮影可能ですから」と説明がある。
猪熊氏の意向なのかな。
さて、美術館内をご案内しよう。
猪熊弦一郎現代美術館
JR丸亀駅を南側に出るとすぐに視界に入る。
屋外の作品
夜の雨の日は反射して美しい。
▼左の入り口から入るよ。
1階
館内撮影が許可されているものの、パシャパシャ撮ることが申し訳ないムード。
猪熊さんの優しさが漂っていながら、厳格な雰囲気。
グッズなども販売しているよ。
▼MIMOCAのロゴ。
MIMOCAは「Marugame genichiro-Inokuma Museum Of Contemporary Art」の大文字部分。
「弦」のフランス語表記。
2階常設展
美術館は写真撮影禁止が常識だけど、撮影してもいいよと言われると逆に撮れない(笑)
自分でもよく分からない感情と戦うことになった。
深く考えすぎなのかもしれないけど・・・
ただ猫好きの私なので、これは撮らせていただこう。
緊張して歪んで撮ってしまったよ・・・
1948年頃から猪熊がカンヴァス作品によく描いたのは、多い時は1ダースほど飼っていたという猫でした。どんなポーズも見ないで描くことができましたが、「猫の小さな猛獣性を描き画にすることは仲々な難事中の難事である(略)」と語っています。少ない色と単純化した形と線で、可愛らしさと猛々しさを併せ持つ猫の特徴をとらえています。
猫を飼っていると共感できる解説だね。
小さな作品がいっぱい。
猪熊氏が禁煙中に、飴などの包装紙をネジネジしてできたものを作品にしたそうだ(笑)
さて、3階に行ってみましょ。
▼2階と1階は吹き抜け。
3階企画展「アートはバイタミン」
2階の展示は常設展だけど、3階は企画展。
以前アラーキーこと荒木経惟氏の作品展でお邪魔したことがあった。
アートというものは、心のヴァイタリティの一つの薬みたいなものですね。それを大きくすりゃあ、ミュージアムでしょう。病院という、病気のための、人間を生き返らせる機械があるとすると、ミュージアムというのは心の病院です。それを一点でも、もってきて家庭に置けば、結局、バイタミン(vitamin:ビタミン)のいいのを毎日飲んでいるようなものですね。
(対談:猪熊弦一郎、盛田良子「絵かきは長生きしないと」『味の手帖』1982年9月号より)
猪熊弦一郎
特に目を引いたのが再現された住居。
吉村順三氏(1908~1997)設計。
▼家具の設置記号。
家具や絵画などは猪熊ご夫妻お気に入りのコレクション。
それぞれをご紹介しよう。
上記記号:デザイナー《メーカー/品名》を掲載する。
▼A:ジョージ・ネルソン《ハーマンミラー/スチールフレームキャビネット》
▼B:チャールズ&レイ・イームズ《ハーマンミラー/LAR》(奥の椅子)
▼C:同《ハーマンミラー/エリプティカルテーブル》(真ん中のテーブル)
▼D:ル・コルビュジェ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ぺリアン《カッシーナ/LC1》(手前の椅子)
▼E:イサムノグチ《オゼキ/アカリ 23N》
お~イサムノグチさんはこのような作品もあるんだね。
▼F:ル・コルビュジェ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ぺリアン《カッシーナ/LC4》(黒いソファチェア)
▼G:ポール・ケアホルム《フリッツ・ハンセン/PK71》(白いテーブル)
▼H:チャールズ&レイ・イームズ《ゼニスプラクティス、ハーマンミラー/RAR》(中央の椅子)
▼I:作者不明《ラダーバックロッカーチェア/不明》(人形が座っている椅子)
あの白い小さいテーブル「フリッツ・ハンセン/PK71」で検索すると販売額が267,300円だったよ。
販売されてあるものは大中小3つの入れ子式テーブルだったんだけど、ここにあるのは一つのみ。
あとの2つはどこにあるんだろうね。
ル・コルビュジェさん他「カッシーナ/LC4」の黒いソファチェアは「シェーズロング」というんだけど680,000円なり。
使い込まれてるね~
価格の話をするのはもうやめよう・・・
▼J:チャールズ&レイ・イームズ《ハーマンミラー/DSR》(5つの椅子)
▼K:ポール・ケアホルム《アーヴィン・コル・クリステンセン/PK41》(中央のテーブル)
▼L:吉村順三《メーカーなし/キャビネット》
この住居を設計された吉村氏のキャビネット。
▼この作品については説明がなかったんだけど・・・
室内には入ることができないんだけど、向こう側からも見ることができる。
すてきな部屋だね。
自動車のレカロシート、BBSのホイール、ビルシュタインのサスペンション、MOMOのステアリング、ブレンボのブレーキにしたくなる気持ちと被ったんだけど、レベルが違うね・・・
いいものに囲まれて生活してみたい。
これからそれを目指そう。
(分相応に)
内部の階段と庭園
内部はエレベーターがあるけど、半室内の階段といえばいいのかな、3階のショップ、庭園は無料で入場可能。
3階にはカフェ「MIMOCA」、地元香川県産の工芸品、雑貨などを取り扱う「まちのシューレ963」がある。
振り返るといい眺め。
コンサートを行うことができるホールがある。
また美術図書館、造形スタジオがあって市民の憩いや活動の場所にも利用できるようになっている。
さらに建物奥側1階は丸亀市立図書館になっている。
丸亀市の文化活動の拠点だね。
3階に行ってみよう。
あ、遅くなったけど猪熊弦一郎現代美術館の設計は谷口吉生氏によるもの。
階段が美しいね。
屋上は滝が流れている。
水しぶきは写っているね。
▼まちのシューレ963とカフェは同じ店内。
まとめ
香川県を代表するアーティスト猪熊弦一郎氏の世界観を存分に楽しむことができる美術館だ。
細部に渡ってどこを見てもインスピレーションを刺激される。
近くには香川県の名物「骨付鳥」で有名な「一鶴(いっかく)」さんの本店があるよ(^^♪
JR丸亀駅の南側にあって、徒歩数分。
日本一高く、日本一小さい天守閣を持つ丸亀城もあるし、JR丸亀駅を降りたら徒歩で1日遊ぶことができる。
本島をはじめ丸亀港から行くことができる塩飽諸島もおすすめだ。
是非丸亀市にお立ち寄りを(^^♪