天台宗のお寺「青蓮院門跡」の見どころ
青蓮院門跡(しょうれんいん門跡)とは
京都市東山区にある青蓮院門跡(しょうれんいんもんぜき)は天台宗の開祖「最澄」さんが創立した寺院で国の史跡。
「青蓮院門跡」は青蓮院門跡は京都五ケ室門跡(妙法院・三千院・曼殊院・毘沙門堂・青蓮院)の一つ。
さらに「三千院」、「妙法院」と並ぶ天台宗三門跡で、とても格式の高いお寺だ。
門跡寺院とは皇族や摂関家の子弟が門主(住職)を務める寺院のこと。
「愚管抄」で有名な「慈円」さんは青蓮院門跡の三代目住職。
また浄土真宗の宗祖「親鸞」さんはここ青蓮院で慈円さんのもと出家された。
青蓮院門跡の敷地内には天然記念物のとても大きなクスノキがあって、親鸞さんのお手植えとされている。
▼青蓮院門跡に来るとクスノキの大きさにびっくり。
京都市の説明によると、「12世紀以降に移植されたもの」とされている・・・
私は親鸞さんが植えたクスノキとして夢を抱いて眺めるよ。
また、青蓮院門跡にある国宝「青不動」は日本三大不動の一つ。
※日本三大不動とは黄不動(園城寺:滋賀県)、赤不動(高野山明王院:和歌山県)のこと。
青不動は現在青蓮院門跡から徒歩30分の「将軍塚青龍殿(せいりゅうでん)」に安置されている。
青不動について解説すると長くなるので割愛する。
※詳細は公式サイトに掲載されている。
さて、青蓮院門跡、青龍殿を訪れたので見どころをレポートする。
6月の晴天時、8月の雨天時の写真が混在するけどご容赦いただこう。
青蓮院門跡の見どころ
華頂殿の襖絵や「龍心池」の景色とその周辺、将軍塚青龍殿にある「青不動」がメインの見どころになる。
しかしそれらの独特の雰囲気をさらに押し上げるような素敵な空気が流れているので、細部までじっくり鑑賞していただきたいところ。
華頂殿
受付を通ると最初に「華頂殿」を通る。
何と素敵な襖絵。
木村英輝氏奉納の、蓮の襖絵60面が圧巻。
ここから見える相阿弥さん作庭の庭もいい。
みなさんウットリ。
天台宗のお寺で「一隅を照らす」という言葉をよく見かける。
最澄さん著「山家学生式」の冒頭からの一節。
国宝とは何物ぞ
宝とは道心なり
故に古人の言わく径寸十枚是れ国宝に非ず
一隅を照らす此れ則ち国宝なり
私も一隅を照らす人間になるよ(^^♪
私はこの華頂殿が一番気に入った。
さらに蓮の絵だけと思っていたら生き物も描かれており、緊張感のあるムードに温かみを加えている。
時間がゆっくり流れている。
華頂殿でくつろぐ方々。
気持ちが分かるよ(^^♪
一文字手水鉢
後述する「小御所」の手前にある手水鉢。
豊臣秀吉さんの寄贈によるもの。
梅の季節、水面に梅が写り込んで奇麗なんだって。
小御所
本堂に行ったら写真撮影禁止だった。
国宝の「青不動」があったけど複製。
「青不動」の本物はここから少し離れた東山山頂「青龍殿」にあるよ。
といっても見られるのはまたしても複製なんだけど・・・
▼雨が降ったり止んだりで通路が湿っている。
宸殿
宸殿(しんでん)という言葉を使用しているのは、前述したけど皇族や摂関家の子弟が住職になるお寺だから。
京都に来て「宸筆(しんぴつ)」という言葉を学んだけど、天皇直筆ということ。
「宸」とは「皇帝」という意味。
宸殿は3部屋に区切られており、真ん中は撮影禁止。
※8月には撮影禁止の表示がなかったんだけど、少し気が引けて撮らず。
一番奥には重要文化財「濱松図襖」がある。
8月には修復中だったよ。
宸殿の庭には境内唯一のクスノキがある。
人が写っているのでその大きさが分かり歴史を感じるね。
手前に見えているのは「右近の橘」。
写真左外には「左近の桜」がある。
※平安神宮にも「右近の橘」「左近の桜」があったね。
龍心池(相阿弥の庭)
受付に戻り、靴を取って外に出る。
池が白くて幻想的。
龍心池はいろんな角度から鑑賞していただきたいね。
外に出て奥に進むと小堀遠州さんの「霧島の庭」があるよ。
さらに進むと茶室「好文亭」がある。
※春と秋に特別拝観ができるんだって。
次回リベンジ。
龍心池の裏側にまわると・・・
平安神宮の鳥居がかすかに見える。
夏の終わり、カエデが美しい。
もうすぐ秋だね。
宸殿周辺
写真左にあるのは「右近の桜」。
先ほど宸殿の中から撮った「左近の橘」が陰になって見えていない。
▼全身を葉で覆う松。
これも珍しい。
クスノキの下、大きさに感動しながらしばし眺める。
親鸞さんお手植えのクスノキさん、応仁の乱ってどうだったんですか?と聞いてみた。
※応仁の乱よりももっと先にここにいらっしゃるのだけど、京都の文化財を訪れるとほぼ「応仁の乱で焼失」と聞くからね。
※「応仁の乱」は最近では「応仁・文明の乱」と呼ばれている。
鐘があったので鳴らしてみた。
とてもいい音。
連打禁止(笑)
将軍塚青龍殿
青蓮院門跡を訪れたら、将軍塚青龍殿もぜひ。
「青不動」と将軍塚や庭園、大舞台からの景色は圧巻。
参拝の注意点
青蓮院門跡から歩いて30分とあるんだけど、実際歩くのかどうか悩む(笑)
バスは土日祝祭日と11月、ゴールデンウィーク時のみの運行。
私は平日に訪れたので、タクシーで上った。
タクシーで上った道のりを見てとても歩いて上がろうとは思えず、タクシーの運転手さんは即答。
「歩いては無理!(怒)、まあ時々歩いている方は見ますけど・・・」とのこと。
タクシーは青蓮院門跡に数台とまっているのだけれど、ここから乗ると一方通行の道を大回りしていくので高額になってしまうのだとか。
一旦青蓮院門跡から下に降りて、山側に向かってタクシーを拾うといいということを教えていただいた。
三条通り、西向きでタクシーを拾うといいよ。
行きも帰りも1,000円、往復2,000円だった。
タクシーやバスで上る道は徒歩の道とは違って緩やかではあるらしいけど・・・
体力に自信のある方、お金が惜しい方は歩いて登ってみてね。
※徒歩での感想受付中(笑)
青龍殿の歴史
▼将軍塚青龍殿前にある青蓮院門跡の「福徳門」
そもそも青龍殿は大正天皇の即位を記念し、大正2(1915)年北野天満宮の前に建てられた。
昭和22(1947)年、警察学校の柔道、剣道の道場になる。
平成10(1999)年には雨漏りが原因で閉鎖。
そして平成21年に青蓮院門跡が東山山頂に青龍殿を移築再建することを決定。
平成26年10月完成、「青不動」を安置し現在にいたる。
青龍殿についての記事は以下のリンクをご参考に。
まとめ
わが香川県出身の弘法大師空海さんのライバル、最澄さんのお寺を訪れてみたかった。
※比叡山延暦寺にも訪れたので次回レポートする。
実際には最澄さんは空海さんの元お弟子さんだったわけで、「ライバル」と言ってしまうと諸説あり語弊があるかもしれない。
お二人の関係はお二人のみぞ知る。
あまり深く考えず、最澄さんの歴史に触れ、とても穏やかな気持ちになれたよ。
特に華頂殿の襖絵、華頂殿から眺める龍心池を眺めるのが良かった。
緑や花もいっぱいで奇麗だった。
青蓮院門跡に立ち寄るなら絶対「青龍殿」はセットにすべき。
参拝時間は半日を少し越えてしまうけど、それくらい価値のある観光スポットだよ。
時間を気にせず旅行したい時、華頂殿で龍心池を眺めてゆっくり過ごしたいね。