水路閣で有名な「南禅寺」の魅力は庭園にあり。
南禅寺とは
南禅寺は臨済宗南禅寺派大本山の寺院。
京都の風景を代表する「疎水(水楼閣)」でも有名なスポットだ。
1264年に後嵯峨天皇が離宮「禅林寺殿」をここに作った。
そして1289年、亀山法皇が「禅林禅寺」と名付け、約10年を要して寺として整備された。
「南禅寺」と呼ばれるようになったのは1300年前後のお話。
足利尊氏さんに天龍寺を建てることをすすめた「夢想疎石」さんも南禅寺の住職を務めたことがあるよ。
禅宗のメジャーなお寺といえば「建仁寺」、「妙心寺」、「天龍寺」、金閣・銀閣で有名な「相国寺」などがあるけど、南禅寺は禅寺の中で最も格式の高いお寺なんだよ。
1467年の応仁の乱でほぼ焼失したんだけど、江戸時代にようやく復興された。
※「応仁の乱」は最近では「応仁・文明の乱」と呼ばれている。
今回は「疎水(水路閣)」、「南禅院」、国宝の「方丈」とその庭園を見たくて本日の朝一番にやって来た。
(8:40から拝観可能)
今回南禅寺を予備知識なく初めて訪れたんだけど、一番印象に残ったのは庭園の多さ。
本来の目的とは違うところでも感動したので、価値の高さに気が付かされた。
さて、南禅寺をゆっくり見ていこう。
三門
三門は「山門」とも記載する。
「この門を入れば凉風おのづから」杉洞
森永湛堂老師自筆の句。
師は佐賀県伊万里市本派円通寺僧堂師家。
杉洞は俳号。ホトトギス派、九州での重鎮。
同人であり選者で門弟が全国に3000人といわれる。
石は熊本県奥球磨白髪岳から運ばれたもの。
重さ15トン。
昭和51年11月23日建立
「三門をくぐると涼しい風が吹くよ」、ということで良いのかな?
くぐってみよう。
確かに、涼しさを感じたよ(^^♪
※そんな気がするだけだったかもしれないけど、想いって大事。
三門とは、仏道修行で悟りに至るために透過しなければならない三つの関門を表す、空、無相、無作の三解脱門を略した呼称。
帰りに上って「絶景かな!」と言う予定。
早く先に見たいものがあったから・・・
法堂(はっとう)
涼しい気持ちでゆっくり風を感じながら進む。
法堂を拝んだ後にのぞき込むと、天井には今尾景年画伯畢生の大作「幡龍」が。
明治42年(1909)の作、とても迫力があった。
天龍寺や妙心寺の法堂天井画は撮影禁止だったのでうれしい限り。
疎水(水路閣)
私はインスタでよく見かけたので、この水路閣に来てみたかった。
この水路閣は、明治維新後に作られた。
景観を破壊するということで建設には反対の声もあったそうだけど、南禅寺にマッチしているよね。
南禅院
南禅寺の南禅院は、京都の三名勝史跡庭園の一つ。
あとの二つは天龍寺、西芳寺の庭園だよ。
ここは入場料が必要。
スイレンが咲いている。
心が洗われる。
ゆったりとした時間を楽しむ。
池泉回遊式庭園で、池のまわりを1周。
南禅院の方丈は徳川綱吉の母「桂昌院」の寄進によって再建された。
方丈の横にアジサイが咲いていた。
方丈
さっきは南禅院の方丈を見たけど、ここは南禅寺の方丈ね。
南禅寺方丈は国宝なのだ。
茶室があり、お茶をいただこうと思ったんだけど早かったからまだ開いていなかった。
後で来よう。
※後で来ると修学旅行生が貸し切りで入室できず(泣)
窓の向こう側にも庭園があったよ。
さすが国宝、漂う空気が違う。
南禅寺の正称は「瑞龍山太平興国南禅禅寺」で、その山号である「瑞龍」が書かれてある。
第8代南禅寺管長嶋田菊僊さんの書。
※説明書きでは「僊」の漢字は「巳」の部分が「山」になっているんだけど、探しても出てこない。
現代的なテーブルだね。
これはこれで絵になっているところが面白い。
こちらも窓の外は庭園かな?
方丈内部は、桃山前期の狩野派絵師筆による障壁画(重要文化財)で全て彩られているんだけど、撮影禁止。
400年が経過して、彩色の剥落などの傷みがみられるため、平成23年12月に124 面中の84面を収蔵庫に保管。
これがとても素敵で、撮影できなくて残念なんだけど訪れる価値大。
といっても見られるのは複製品なんだけど、なぜ撮影禁止?
方丈のまわりは庭園だらけで、時間の流れが止まっている感じがした。
方丈庭園
方丈庭園は国指定の名勝。
小堀遠州さんの作庭。
派手さはないんだけど、なぜか座って眺めていると落ち着く。
「虎の子渡しの庭」と呼ばれ、仏教色を廃した作庭なのだとか。
龍安寺の石庭も「虎の子渡しの庭」だったね。
小方丈庭園「如心庭」
方丈に併設する小方丈にも庭園があり、「如心庭」と呼ばれている。
これも国宝。
解説があった。
昭和41年に当時の管長柴山全慶老師が「心を表現せよ」と自ら熱心に指示指導されて作庭されました。その名のごとく、「心」字形に庭石を配した枯山水の石庭で、解脱した心の如く、落ち着いた雰囲気の禅庭園となっています。
蓬莱神仙庭
蓬莱とは中国の東海中にあって仙人が住み、不老不死の地と考えられている霊山。
神仙とは神通力を得た仙人のことである。
ここ南禅寺の境域も古くから神仙佳境、即ち仙人が住む佳きところと称えられてきた。
仙人たちの住むこの庭を眺め、あなたの心の中に迷いや悩みのない佳境を見出して下さい。
六道庭
解説を読もう。
「如心庭」が悟りの心の風景の庭であるのに対し、この「六道庭」は六道輪廻の教えを考える庭である。
六道輪廻とは、天上道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道の6つの世界を私たちは生まれ変わり続けるという仏の世界観をいう。
道とは世界のことである。
一面の杉苔の中に配石された景色を眺めながら静かに現実を直視すると煩悩に迷い涅槃の境地に達することなく六道を輪廻する我々凡夫のはかなさを想う。
「涅槃(ねはん)」と「凡夫(ぼんぷ)」という用語が出てきたね。
「涅槃(ねはん)」とは一切の煩悩(ぼんのう)から解脱(げだつ)した、不生不滅の高い境地。
「凡夫(ぼんぷ)」とは煩悩(ぼんのう)にとらわれて迷いから抜け出られないすべてのいきもの。
聖徳太子は十七条憲法の第十条で「われ必ずしも聖に非ず、かれ必ずしも愚に非ず。共に是れ凡夫のみ」と言って、凡夫を「ただびと」と言い、お互いに許し合って生きてゆく世界の根本をここに求めている。
(Wikipediaより抜粋)
鳴滝庭
方丈を通り、小方丈を抜けると回廊のまわりに庭園がたくさん。
還源庭
南禅寺の庭園はいろんな表情を見せてくれる。
龍吟庭
池の名は涵龍池。
先に見えているのは茶室「不識庵」。
華厳庭
廊下の左側が六道庭で、突き当りに龍吟庭。
右側に華厳庭がある。
庭を囲んでいる垣根は南禅寺垣というんだよ。
右の茶室は「窮心亭」。
沙羅(シャラ)、別名ナツツバキが咲いていた。
塔頭「天授庵」
三門に上がろうとすると、その脇に南禅寺塔頭の「天授庵」があったので立ち寄った。
「睡蓮が咲きました」にヤラれた(笑)
入場料は一般500円。
方丈の枯山水庭園には名前が付けられていたんだけど、漢字がない。
南禅寺方丈庭園を作った小堀遠州さんによる作庭。
▼もう一つは池泉回遊式庭園「澄心庭」。
スイレンが咲いていたよ(^^♪
こじんまりとしていてとても静か。
まとめ
あ、三門に上るのを忘れていた(笑)
南禅寺は京都を代表する見所満載の禅寺であることがよく分かった。
しかし今日は一体いくつの庭園を鑑賞したのだろう?
1.南禅院の方丈庭園
2.南禅寺の方丈庭園
3.小方丈庭園「如心庭」
4.蓬莱神仙庭
5.六道庭
6.鳴滝庭
7.還源庭
8.龍吟庭
9.華厳庭
10.塔頭天授庵の方丈庭園
11.塔頭「天授庵」の「澄心庭」
11庭園!
※茶室や書のある部屋の向こう側にも庭園があったからね。
帰る時は完全に禅の世界観に魅せられて穏やかな気持ちになっていた。
とても有意義な観光だったよ。
いろいろな花が咲くようだから、1年を通して訪れたいスポットだ。