庭園ランキング2位の『桂離宮』に納得!
アメリカの日本庭園専門誌『The Journal of Japanese Gardening(ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング)』において、京都にある庭園でランクインした庭園は以下。
(2019年12月発表)
2位:桂離宮
6位:御所西 京都平安ホテル
8位:無鄰菴(むりんあん)
2003年から開始されたこのプロジェクト、ずっと島根県の足立美術館が1位、桂離宮が2位なんだよ。
本日は桂離宮に行ってみよう。
アクセス
京都駅から市バスで行くと、「桂離宮前」というバス停で降りればいいのだけれど、市バス1日券600円の適用外の場所で、バス停2つ前の「桂小橋」で降りて歩く(笑)
※市バスを桂離宮で降りる時、1日券の提示と整理券(バスに乗る時に取るのを忘れずにね)と、200円弱を払えばもちろんダイレクトに行けるから(笑)
桂大橋を渡り、右に曲がると桂離宮。
帰りのバスの時間を調べておこう。
バス停「桂離宮前」の前には和菓子屋の中村軒さんがあるよ。
桂離宮の外の塀は笹で奇麗に仕上げられている。
バス停「桂離宮前」から入り口までは徒歩5分くらい。
予約について
私は予約をせず、当日飛び込みで参観することができた。
時間は9:00、10:00、・・・と1時間単位で20人までの受付だったのだけど、幸運にも待たずに参観することができた。
(当日受付は2016年からできるようになったらしく、飛び込みで参観できたのは非常にラッキーだった。)
自由に庭園内を参観できるものではなく、20人単位でガイドさんとまわる。
身分証明書の提示を求められる。
桂離宮について
桂離宮は後陽成天皇(ごようぜいてんのう)の弟・八条宮(はちじょうのみや)初代智仁(としひと)親王により、宮家の別荘として建てられた。
元和元年(1615)より造営が始まった。
八条宮家はその後、常盤井宮(ときわいのみや)、京極宮、桂宮と改称されて明治に至り、明治14年(1881)に12代淑子(すみこ)内親王が亡くなられるとともに絶えた。
桂山荘と呼ばれてきたんだけど、明治16年(1883)宮内庁所管となり「桂離宮」と称されるようになった。
創建以来、火災に遭うことなくほぼ完全な状態で存在している。
桂離宮の敷地は6万9千平方メートル、東京ドーム1.5個分の広さ。
桂離宮は周辺の土地も買占めて景観を守っている。
桂離宮関係者の意気込みも、ランキングに反映しているところなのだろうね。
時間になるとガイドさんが待合室までお迎えにきてくれる。
いざ。
入り口から御幸門、表門まで
最初は御幸門まで行く。
池に名前はついていないようだ。
本日は池の水を抜いていて水位が低くなっているところが残念。
▼池の向こう側に松琴亭(しょうきんてい)が見える。
茅葺切妻屋根(かやぶききりつまやね)を棈(あべまき)という自然木の皮付丸太で支えている。
御幸門の先には表門がある。
表門は普段は使用されていない。
歩くときは苔や土を踏まないように注意される。
外腰掛
茶室である松琴亭(しょうきんてい)の外腰掛という待合腰掛。
茅葺寄棟造り(かやぶきよせむねづくり)で、皮付丸太で支えるだけの吹き放し。
扉のある部屋は雪隠(せっちん=トイレ)。
対面にはソテツさん。
薩摩島津家から献上されたソテツさんだが、寒がりなんだね~
向こう側が細くなっていて遠近法で広く見せる工夫なのだとか。
洲浜
水位が下がっているのがすごく残念・・・
▲黒く扁平な石が敷き詰められ池に突き出している。
見えにくいんだけど、松の左にある灯篭は灯台をイメージし、海を演出しているらしい。
▼この写真だと灯篭(右側)が分かりやすい。
▼橋は天の橋立に見立てたもの。
松琴亭(しょうきんてい)
茅葺入母屋造り(かやぶきいりもやづくり)の茶室「松琴亭」。
『琴の音に峰の松風通うなりいづれのをよりしらべそめけむ』
徽子女王(きしじょおう・929~985年)
松琴亭の名前はこの句から採用された。
「宸筆(しんぴつ)」とは「天皇自筆」という意味。
しかし石、松や汀線美(池と陸の境目の線)など、どこを見ても美しいね。
さすがランキング2位。
この眺めの中でお茶を飲みたい。
夏に来ればもっと美しいだろう。
(あ、お茶を飲むことはできない)
茶系の中にいきなりカラフルなチェック柄を持ってくるとは斬新。
外からパシャパシャといっぱい撮ったけど、中には入ることができない。
チェック柄、ほんとにいいアクセント。
とてもいい空気が流れている。
桂離宮は見ることを許された宮内庁の庭園なのだ。
おいそれとは茶室として利用はさせていただけないんだよ。
▼以前は鐘が吊るされていて、前述の「外腰掛」に合図を送ることができたそうだ。
▼普段は船がないとのことで、水抜き時にはこの船があるのだとか。
船を見るのはかなり珍しいことなんだって~
続いて賞花亭(しょうかてい)を目指す。
▼苔で覆われた石橋が素敵。
賞花亭までは橋を渡り、坂を上がる。
どこの橋からの眺めも美しい。
(止まって撮ると団体行動を乱すことになる・・・)
苔は絶対踏んではならない。
常に石の上を歩こう。
賞花亭(しょうかてい)
坂を上りきると峠の茶屋風の賞花亭がある。
苑内では最も高い位置にある。
茅葺切妻屋根に皮付きの柱を用いている。
この窓から見る景色はパンフレットに『深山幽邃(しんざんゆうすい)の趣を備えている。』と表現されている。
夏の暑さを避けるための茶室で、北に向かって建てられており風が気持ちよく感じられた。
外腰掛で見た四角の手水鉢と違い、賞花亭では丸型。
園林堂(おんりんどう)に向かう。
園林堂(おんりんどう)
園林堂が見えてきた。
本瓦葺宝形造り(ほんがわらほうぎょうづくり)屋根の持仏堂(じぶつどう)。
額は後水尾上皇の宸筆。
回遊式庭園なので、どこにいても美しい池を眺めることができる。
笑意軒(しょういけん)に向かう。
笑意軒(しょういけん)
笑意軒は切り石を直線的に畳んだ人工的な汀線に面した田舎家風の茶室。
茅葺寄棟造りの屋根に、杮葺(こけらぶき)の廂(ひさし)を付けた開口の長い建物となっている。
慈照寺銀閣の屋根も杮葺きだったね。
20人でまわっていると、なかなか撮影できないんだよ(笑)
▼窓の向こう側は田んぼで、外部委託で稲を育ててもらっている。
ここからの眺めのために、手の込んだこともされているわけだ。
素晴らしい。
書院に向かう。
▼書院に行く前にある広場。
馬術や弓の練習場だった。
書院(新御殿・楽器の間・中書院・古書院)
ジグザグに4棟あり、左から新御殿・楽器の間・中書院・古書院となっている。
ジグザグであることですべてが角部屋となり、窓を多くできることや騒音の問題などが起きにくい。
内部は非公開。
月見台(つきみだい)
古書院には月見台がある。
竹簀子で作られており、月見はもとより、苑内の景観が一望できる。
納涼の設備でもある。
月波楼(げっぱろう)
▼「歌月」と書かれてある額は霊元天皇の宸筆。
▼襖の絵は楓のようだ。
▼窓の外から見える築山は紅葉の山なのだ。
読んで字のごとく、魚の卵のように見える垣根。
御輿寄(おこしよせ)
書院の玄関で、延段が苑内では見られない構成であるところが見所。
4段の階段を上るとある靴脱ぎの石は広く、6人まで置けるので「六つの沓脱(くつぬぎ)」という。
中門
さて、中門をくぐると、最初の入り口に行き、そこから退出する。
大変親切で優しいガイドの方、ありがとうございました。
まとめ
とても素敵な庭園で、さすが庭園ランキング2位。
順位が2位だという先入観を持たずとも、感動したであろう。
桂離宮には4つの茶室がある。
4つの茶室はそれぞれ趣向が異なり、私は茶道を始めたくなってしまった。
桂離宮では各施設は見るだけ、非公開のものもあり通行も制限されているけど、それらが格式の高さを醸し出している。
ガイドの方をはじめ、桂離宮関係者の皆様、ありがとうございました。