徳島のもう一つのうだつ!「阿波池田うだつの家 たばこ資料館」で知る巨万の富と歴史
徳島県美馬市脇町の「うだつの町並み」は、重要伝統的建造物群保存地区として全国的に有名だ。
でも、徳島県の他の地域にもまだ「うだつ」が存在していることをご存じだろうか?
今回は香川県丸亀市から南へ約1時間。
国道32号線をひたすら南下し、吉野川を渡った先にある徳島県三好市池田町の「阿波池田うだつの家 たばこ資料館」とその周辺を歩いてみよう。

阿波池田うだつの家・阿波池田たばこ資料館 (旧真鍋家住宅)の由来
当家は、幕末から明治にかけて栄えた、たばこ製造業者の住宅兼工場として、百年以上が経過した重厚な風格ある建物です。
本町筋に建ち並ぶ同時代の家々の中でも、うだつを あげた主屋や離れ、たばこ製造作業場などをよく残しており往時を偲ばせます。
当時の繁栄の象徴として、平成8年7月1日に池田町指定有形文化財(現在:三好市指定有形文化財) に指定されました。
その後、改修を経て平成11年7月より主屋と離れを「阿波池田うだつの家」として、旧作業場を「阿波池田たばこ資料館」として敷地内を一般公開し、たばこに関する資料を展示しています。
三好市教育委員会
見上げると、立派なうだつがしっかりと上がっている。


しかし、周辺を見渡してみると、お隣の「住吉家住宅主屋」と、その奥にもう1軒。

町並みとして連続しているわけではなく、少し離れた場所に数軒残る程度なので、うだつそのものをズラリと鑑賞するような規模感ではなかった。
……と、最初は思っていた。
しかし、いざ「阿波池田うだつの家 たばこ資料館」の中を見学してみると、ここが想像以上にすごかったのだ!

営業時間は9:00~17:00。
定休日は水曜日と年末年始(12/28~1/4)ね。
入館料は一般320円、高校生・大学生210円、小学生・中学生100円。
※20名以上の団体割引あり
ここでは無料のガイドさんが案内と説明をしてくださるのだが、これが非常に興味深い話ばかり。
見学中に浮かんでくるたくさんの疑問にも、丁寧に答えていただいた。
本当にありがとうございました。
結論から言うと、日本のたばこの歴史は、ここ池田町で始まったと言っても過言ではない。

最初はたばこの葉を乾燥させ、重ねて包丁で手作業で刻んでいたそうだ。

剪台(せんだい)(かんな刻み機)
阿波池田の中村武右衛門は、寛政12年(1800)、 鉋(かんな)による葉たばこ刻み機『剪台』を発明しました。
積み重ねた葉たばこを締台(しめだい)で圧搾し、固形化したものを片端から削る機械です。
細さを自由に加減できることや量産が可能なことで、たちまち各地に広がり関東にまで普及しました。剪台発明のきっかけは、粟島 (香川県詫間町)にある北前船問屋から、北海道の昆布切り機のことを聞いてからだと伝えられています。
武右衛門は、これをたばこ刻みに利用できないかと考え、購入して大工に作らせ、 苦心の末 『剪台』 を考案しました。
以後、 武右衛門はその問屋を通じて北海道へたばこ製品を売り込む
ことになりました。
他の地域で作られたたばこは、北海道に運ぶと運賃がかさんで高額になってしまう。
しかし池田町では、この機械化によって量産が可能になり、大量に北海道で販売ができたということだ。
まさにアイデアと技術で巨額の富を得たわけである。

北前船が香川県の粟島に寄港していたことで、徳島県、香川県、そして北海道の交流が生まれていたという歴史のロマン。
続いて案内された「はなれ」に足を踏み入れると、当時の圧倒的な繁栄ぶりがひしひしと伝わってきた。贅の限りを尽くした外観と内観をご覧いただきたい。








どれもひとつひとつ、ため息が出るほど趣がある。


これだけの装飾や名木が揃っているのに、決してうるさくないのが不思議だ。
すべてが計算されたように、部屋の空気にちゃんと馴染んでいる。



当時、池田町にはたばこ製造業者が80軒ほどもあったそうだ。
しかし明治38年(1905)、これまでたばこを度々禁じて来た国が一転し、貴重な財源として「専売制」にすることを決定する。
その際、当時の機械はすべて国に没収されてしまい、実物は一切残っていないのだという。
当時の苦労や誇りを思うとなかなか腹立たしい話にも聞こえるが、補償金や仕事のあっせんは国からしっかりと行われ、たばこの栽培農家自体はこれまで通り収入を得られていたそうだ。
思いがけず深く知ることになった、たばこの歴史。
そして、そこで生まれた富が築き上げた、価値ある見事な建築物。偶然立ち寄った場所だったが、見学できて本当に有意義な時間だった。
【電話】0883-72-3450
【住所】徳島県三好市池田町マチ2465−1



